
Vol. 1-at the Golden Circle
雪の中にたたずむ ストックホルムは65年12月の Ornette Coleman トリオ。秀逸なジャケット写真が物語る、あまりにカッコ良いジャズ。抜群のスピードを擁しながら、高音域では軽やかに、低音域ではメリメリと空間を引き裂くアルトと、ジャストの変化自在ぶりも素晴らしいバネの効いたドラム。 [3][4]の情感流れる Ornette の歌いぶりは絶品だし、全体を通してアルトの音の艶やかなこと!
出ると必ず買うことにしている RVGエディションで未発表曲も加わったこのCD、できれば Vol.2 と併せて薄ケース2枚組で出して欲しかったところ。なお、このライブの半年前65年6月には、同トリオにPharoah Sanders(ts) を加えて「Chappaqua Suite」を収録。これまた力強さあふれ最高。

ジャズの十月革命 (植草甚一スクラップ・ブック)
表紙がビル・ディクソンなので期待したが、内容はほとんどがオーネット・コールマンの話。
おまけでセシル・テイラーという感じ。
フリージャズを総括するような内容ではないのでご注意を。
オーネットやセシルのファンであれば読み応えはあると思いますが。

たけしとジャズ
僕はジャズはシロウトですので詳しい事は書きません。(&ですし、書けません。。。)
でも1曲目と2曲目に入っているジョン・コルトレーンの「My Favorite Things」、2曲いっぺんに聴いても飽きません!
この冒頭の2曲は確実に全く違うリズム、テンポですし、違うところがジャズなのかも知れません。
(2曲目はライブです。)
3曲目にマイルス・デイヴィス。もの凄くブルージーで真っ黒で粋な「ジェネリック」。
以下、僕が解説してもしつくせませんので、是非27曲、3,200円というアルバムを購入して聴いて下さい。(ダウンロードより安いんですよ。)
ジャズって確か「自由な」という語源があったと思います。
時代も自由な雰囲気漂う頃だったのでしょう。
でもこのアルバムでたけしさんと同じ時代を聴くことができます。
秋の夜長にこのアルバムで物事に耽ったり。
たけしさんもこれをジャズ喫茶で聴きながらバイトしていた頃は何を考えながら生活していたんでしょうか…。
お薦めします。

Shape of Jazz to Come
ジャズを聴き始めた高校の頃、マイルスやアート・ブレイキー、コルトレーンというお決まりのアイドルにはまり、すごく気にはしつつも敬遠していたのがオーネット・コールマンであった。もちろん彼がモダン・ジャズの最大のイノベーターの一人であることは知っていたし、コルトレーンやドルフィーのフリーキーな演奏にも親しんでいたので、興味がないわけではなかった。最初に聞いたオーネットはそのドルフィーらとの文字通り「フリージャズ」というアルバムで、ジャクソン・ポロックらしき作品がジャケットに使用されていた点も、当時美術に進もうと決めていた僕にとって親近感を抱かせるものであった。しかし意外にも、アトランティックのこのデビュー作は聞く機会がないまま、ロンリーウーマンという名曲の存在ともども幻のアルバムとして心の隅にあり続けた。そして、おそらく30代半ばくらいに初めて聴いたとき、これがフリージャズの旗頭となったオーネットの問題作なのかと、少々驚かされた。新しさがないというのではなく、想像以上に美しく、やさしい音楽だと思った。そしてそこから発せられたフリー<無調>という概念の鮮烈さの意味が少しわかり、以前から漠然と思っていたフリージャズという概念に対する疑問が氷解したのであった。無調であるということが「でたらめ」ということではなく、既成のコード、リズム、メロディという要素の枠を新たな概念や規範によって再構成することという、いわば当然のことが実感できたのだ。美術にもいえることであるが、具象的な絵画しか絵だと思っていない人にとって抽象絵画が、でたらめに見えるように無調やモードでさえも、いやもっといえば通常のインプロビゼーションすら「わけがわからん」という精神の埒外に飛んでしまうのだろう。この音楽との出会いが、また一つ豊かな世界を知らせしめたのだ。オーネットに感謝したい。